電力自由化関係

大手電力会社の取り戻し営業が本気の安さで比較にならない件

取り戻し営業

大手電力会社の取り戻し営業

取り戻し営業とは、電気の需要家が新電力へスイッチングする期間を利用して、大手電力会社(旧一般電気事業者)が、新電力が対抗できない安い小売価格を提案。
需要家がすでに申し込んだスイッチングを撤回させることを目的とする行為のことです。

今後さらに電力自由化を勧めていきたいところに、市場の悪のように言われてきた【取り戻し営業】。

この取り戻し営業を実際に経験する機会がありました。

私の務める会社でも、1年前にもこの【取り戻し営業】として大手電力会社から高圧契約の営業を受けましたが、その際はことごとく新電力の提案内容に敗退。

実際には取り戻しをすることができなかったのですが、今回の電気契約見直しの時期に再度大手電力からの営業攻勢。

再び、新電力の提案内容に対抗できない提案ではないのかという想定をしていたところ、今回の【取り戻し営業】は本気の提案を持ってきました!

本気すぎて、他の新電力会社の提案内容と詳細に比較することもないくらいの削減提案。

ここに来て大手電力会社でも高圧電気契約の取り戻しが重要課題になってきているようです。

【取り戻し営業】は悪なのか

そもそも、市場の悪というような取扱をされている【取り戻し営業】。

【取り戻し営業】自体はそもそも悪なのかということについて、需要家、消費者にとってはまったく悪でもなく、消費者にとっては【電気代の価格】が一番大きな選択肢となります。

特に、ビジネスの世界であれば、同じものを同じ質で利用できるのであれば安いに越したことはないという選択肢が一番です。

それ以外には、企業イメージのために多少価格が高くても自然エネルギーを利用した電気契約を結ぶ、電気の供給だけではなく災害時や緊急時の電気供給体制も含めた電気契約の選択肢もありますが、多くの企業では電力価格が安いことが再優先事項となります。

【取り戻し営業】ができる電力会社ということは、それだけ電気価格で勝負ができる電力会社であるということです。

他の新電力会社や電力自由化を推進していく立場の国としては、電力自由化や営業拡大機会を交代させる営業攻勢なので、批判的な立場にあると言えますが、消費者にとっては電気代が安くなることについて、何も悪いことはありません。

さらに、市場の中で競争に勝ち続けることは資本主義の中で当たり前に行われてきたので、【取り戻し営業】が規制されるというのは市場を歪めてしまう行為ですね。

新電力会社も電気の小売市場に参入していく以上、勝ち続けていく覚悟を持って参入してもらうしかありません。

本気の安い価格提案で比較にならなかった

では、大手電力会社がどのくらいの価格提案で持ってきたのか。

多くの新電力会社では大手電力会社との電気代比較で提案を持ってきますが、大手電力会社との比較で8~15%程度の電気代削減見積もりを持ってくるわけです。

それでも十分大きい削減額だと考えていましたが、今回大手電力会社が持ってきた提案内容は、20%を超える割引額を入れていました。

大手電力の電気代単価は新電力とは異なり、勝手に変更ができず、電気代単価の部分は変わりません。

そのかわりに、電気代割引の部分で新電力会社の提案と勝負してきます。

この割引部分で20%を超える割引額を入れてきたのです。

これまでは新電力会社がその価格競争力を優位に展開してきていた電力自由化でしたが、ここにきてついに大手電力会社が本気の勝負に入ってきました。

新電力会社への契約者流出を見逃せないくらいまでに電力自由化が浸透してきたという証なのでしょう。

この圧倒的な電力価格により、見事に大手電力会社は電力契約の取り戻しに成功しました。

新電力会社の今後はどうなる

今回大手電力会社が取り戻し営業に成功したことで、新電力会社では最終的に大手電力会社の本気には太刀打ちできないことが見えてきました。

これではせっかく自由化された電力市場が逆行していくことも考えられます。

もちろん、自由競争なので、以前のように大手電力会社の電気料金も簡単には挙げられない環境にはなりましたが、せっかく育ちつつある新電力会社の芽を潰してしまうことにもなりかねません。

では、新電力会社の勝負できることに何があるのか。

それは、低圧電力部門。

大手電力会社と新電力会社を比較すると、低圧電力部門はいまだに新電力会社が優位である場合がほとんどです。

2019年4月より九州電力が低圧電力の電気料金単価を見直しましたが、約1%程度しか引き下げになっていません。

これで価格競争力がついたという九州電力社長の意見もありましたが、1%程度の引き下げであれば、まだ新電力会社の電気料金単価の方がはるかに安いです。

今回取り戻し営業のターゲットにされているのは高圧電力部門です。

それは、一契約当たりの電気供給量が大きいので、この高圧電力部門を新電力会社に取られていくのは、大手電力会社としても見逃せない程の大きな影響があるのでしょう。

しかし、低圧電力部門は契約数の割には一契約当たりの電気供給量が少ないため、電気供給量を確保するためには件数をこなさないといけないこともあり、営業効率が悪いです。

まだ勝負できる市場である低圧電力部門でいかに電気供給量を稼いでいくか。

低圧電力部門での競争

現在の低圧電力部門では、通信系やガス供給系の新電力が上位にきている場合が多いです。

これは、もともとの事業が消費者に近い部分で営業をしているので、電気契約を獲得しやすいということも言えるでしょう。

例えば、auでんきやSBパワー、東京ガス、大阪ガス等の新電力が新電力のランキング上位にあるのは消費者との接点が多いというのが大きな理由ともいえそうです。

では、もともと消費者との接点が少なく、資本も小さい新興新電力が低圧電力部門で競争していくにはどうするべきか。

それは、電気料金単価の価格競争です。

電気料金単価の価格競争

実は、新電力会社の中でも当初電気供給量を爆発的に伸ばしていた新電力もありましたが、ここ最近新電力会社でも毎月電気供給量を落としている新電力も少なくありません。

理由は様々ありますが、電気供給量を落としてきている新電力会社の傾向として、価格競争力が落ちてきている新電力会社は供給量が落ちてきている傾向があります。

それは、新しく誕生した新電力会社がより安い電気料金を提示しているため、もともと大手電力会社と比較して安かった新電力会社でも、新興新電力会社と比較すると見劣りしてしまうということがあります。

一方で、電気料金単価は安くないのに、電気供給量を増やしている新電力もあり、これについては、営業戦略の賜物だと言えます。

新電力会社の営業戦略

当サイトではまったく評価していない【ハルエネでんき】ですが、電気供給量だけを見ると、今でも電気供給量を伸ばし続けています。

理由として考えられるのは、ハルエネでんきの代理店営業がその電気供給量を伸ばしている理由の一つだと考えられます。

ハルエネでんきの代理店報酬は高額であるというのが知られており、この高額報酬を目的に積極的な代理店の営業活動が功を奏しているのだと考えられます。

電気料金単価は安くないのに、これだけ電気供給量を増やすことができているというのは営業戦略の重要性を物語っていますね。

まとめ

大手電力会社は、当初新電力会社の電気料金単価引き下げにより、高圧電力、低圧電力部門それぞれで確実にシェアを伸ばしてきていましたが、ここにきて大手電力会社が高圧電力部門の電気契約取り戻しに躍起になっています。

さらに、もともともっている市場競争力を生かして、新電力が太刀打ちできない電気料金プランを積極的に営業展開している状況があります。

このままでは高圧電力部門では再び大手電力が大きなシェアを取り戻してくることも考えられます。

一方で、低圧電力部門では今でも新電力会社の料金プランが大手電力会社に比べ、価格が優位となっています。

高圧電力部門では競争が激しくなってきていますが、低圧電力部門ではまだまだ新電力会社にも競争で勝ち続ける有利さがあるので、今後新電力会社が低圧電力部門でのシェア拡大を目指してほしいところです。